非住宅の外皮とは?モデル建物法における外皮と寸法の押さえ方を省エネ判定員が解説

非住宅建築物の省エネ性能には、外皮性能の基準はありません。

しかし、省エネ性能を評価するためには、

外皮の情報を計算プログラムに入力する必要があります。

この記事を読むと非住宅建築物の外皮とはどこを指すのか、

モデル建物法の計算において、外皮はどこを入力すれば良いのか、

知ることができます。

非住宅建築物の外皮について知り、

少し面倒な外皮の入力をマスターしましょう。

非住宅建築物の外皮とは

モデル建物法で省エネ性能を計算する場合、

非住宅建築物の外皮は、以下に示すとおりです。

・屋根又は天井

・外壁

・外気に接する床

図で示すと、この記事のアイキャッチ画像のような形になります。

かっこ()で囲われたの部分は、モデル建物法において、外皮に該当しない部分となります。

非住宅の外皮とはならない部分

非住宅建築物において、断熱性などの外皮の性能は、

ペリメーターゾーンの空調負荷に影響を与える”要素”

となっています。

「ペリメーターゾーン」と言うのは、

外の熱環境の影響を受けやすい建物外周部分のことです。

出典:国土交通省資料「省エネ基準の概要」

【 001500252.pdf (mlit.go.jp) 】※ページ数:4

このような考え方により、モデル建物法において以下に示す部分は外皮には該当しません。

・階数に算入しない塔屋部分の屋根・外壁

・その他の床(1階床など、外気に接しない床)※標準入力法では、外皮として入力します。

・地盤に接する外壁・床

・天井段差の部分

その他の床、天井段差については、

省エネ計算を審査する審査機関や行政庁により、

外皮として算入が求められるケースもあるようです。

モデル建物法を活用した計算書を用いて、

省エネ適判などの申請をされる際は、

事前に確認しておくことをお勧めします。

モデル建物法の計算における注意事項

モデル建物法の大きな特徴として、

建物の用途ごとに定められた

“モデル建物”を用いて計算することが挙げられます。

中には、モデル建物が複数存在する建築物があります。

こういったケースにおいて、注意事項があります。

例えば、上図のように、

事務所モデルと工場モデルの複合となる建物において、

相互の境界となる壁について、条件によって扱いが変わります。

境界となる壁の扱いは、以下のとおりです。

・工場の温熱環境が外部と同等の場合・・・境界の壁は外皮になる

・工場の温熱環境が事務所と同等の場合・・・境界の壁は外皮にならない

このように、隣接する空間の温熱環境により、

外皮となるケース、外皮とならないケースの

両方の可能性が存在することに注意しましょう。

外皮の寸法のとり方

非住宅(モデル建物法)における外皮は、

・屋根又は天井

・外壁

・外気に接する床

の3種類であることを説明しました。

モデル建物法の計算においては、

これらの部分の面積を入力する必要があります。

ではこれらの部分の寸法は、どのように押さえれば良いのでしょうか?

水平方向・鉛直方向の2つの観点で解説します。

水平方向の寸法の押さえ方

水平方向の寸法の押さえは、

“壁芯”が基本となります。

“壁芯”から”対になる壁芯”が、

天井や外気に接する床の面積算定に用いる

幅になり、奥行になる、という考え方です。

これは、建物の床面積を算定する基準と同じです。

天井や外気に接する床は、

床面積を算定する時と同じ考え方で、

外皮面積を算定することができます。

なお、屋根については、

一部の例外を除いて、勾配を考慮する必要があります。

「幅×奥行」で算定した面積に、

勾配による倍率である「伸び率」を乗じる方法がオススメです。

例えば、

・屋根勾配:1/20(伸び率:1.00124)

・勾配を反映する前の面積:100㎡

である場合、屋根面積は以下のように計算できます。

屋根面積 = 100 ㎡ × 1.00124 = 100.124 ≒ 100.12㎡

屋根勾配による伸び率は、

直角三角形の「斜辺÷底辺」で計算できます。

勾配(水平長さと垂直長さ)から斜辺の長さを計算する方法は、

こちらのサイトが参考になります。

出典:TOM’s Web Site 勾配計算

【 勾配計算 (tomari.org) 】

なお、モデル建物法では、屋根勾配が1/100程度である場合、

勾配を屋根面積に反映させる必要はありません。

「1/100」程度が、具体的にどの範囲をさすのか、

審査機関や行政庁により扱いが異なります。

困った際は、問い合わせすることをお勧めします。

鉛直方向

鉛直方向の寸法は「階高」の合計となります。

「階高」は文字通り、階ごとに高さが決まります。

中間階の「階高」の押さえ方は、2種類あります。

1,下端:床スラブ上面、上端:上階床スラブ上面

2,下端:フロアレベル、上端:上階フロアレベル【オススメ】

地階を除く最下階の「階高」の算定方法も、2種類となります。

1,下端:地盤面(グランドレベル)、上端:上階床スラブ上面

2,下端:フロアレベル、上端:上階フロアレベル【オススメ】

最上階の「階高」の算定方法は、4種類となります。

1,下端:床スラブ上面、上端:屋根スラブ上面(屋根スラブがある場合)

2,下端:フロアレベル、上端:屋根スラブ上面(屋根スラブがある場合)【オススメ】

3,下端:床スラブ上面、上端:断熱下端(屋根スラブがない場合)

4,下端:フロアレベル、上端:断熱下端(屋根スラブがない場合)【オススメ】

なお、天井断熱において、

断熱材と天井仕上げが接している場合は、

階高の上端は天井面とすることができます。

これまでお伝えした情報を踏まえて、

オススメする寸法の押さえ方を整理すると、

以下のようになります。

1,下端:地階を除く最下階のフロアレベル

2,上端①:屋根スラブ上面(屋根スラブがある場合)

3,上端②:最上階の屋根断熱下端(屋根スラブがない屋根断熱の場合)

4,上端③:最上階の天井面(屋根スラブがない天井断熱の場合)

下端は最下階のフロアレベル、

上端は屋根スラブの有無や断熱材の設置場所により、

3パターンに分かれる形となります。

“下端”と”上端”を理解して、

階高の押さえ方をマスターしましょう。

まとめ

モデル建物法で省エネ性能を計算する場合における、

非住宅の外皮と寸法の押さえ方について解説しました。

・非住宅の外皮は、「屋根(天井)」「外壁」「外気に接する床」の3種類

・外気に接しない床や、天井段差、階数に算入しない塔屋は外皮にならない

・モデル建物が複数ある場合、モデル相互の境界となる壁が外皮となるケースもある

・外皮面積を算定する際の、水平方向の寸法の押さえは、壁芯となる

・外皮面積を算定する際の、鉛直方向の下端の押さえは、フロアレベルとすると簡単

非住宅の省エネ計算においても、外皮の仕様を入力します。

モデル建物法においては、外皮の面積も、入力が必要となります。

どの部分が外皮なのか、

外皮の面積はどのように算定するのか、

概念と寸法の押さえ方を理解して、

モデル建物法の外皮の入力をマスターしましょう。

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